クラリネットは、木管楽器の一種で、唄口に取り付けられた1枚の簧(リード)によって音を出す単簧(シングル・リード)の管楽器。
略称は「Cl」「クラ」など。
18世紀の初め頃、ドイツ人のデンナー(Christian Denner 1655-1707)が、シャリュモー(仏:chalumeau)を改造して作成したのが始まりである。
シャリュモーは、18世紀の後半頃までオーケストラに使用されていたフランスの古楽器で、シングルリードの円筒形木管楽器である。
バス・クラリネット等音域の低いクラリネットは、その原型はアドルフ・サックスが考案したといわれる。
構造は吹口に近いほうからマウスピース(ベックとも=唄口)、バレル(=ビルネ・樽 アルト・クラリネットより低い音域のクラリネットではネック)、管体、ベル、となっている。
管体は、ソプラノ・クラリネットより大型のものでは上部管(上管)と下部管(下管)に分割できるものが多く、これより小型のものでは一体型のものが多いが、これは可搬性を確保するためのものであり、必ずしも音色や音質、音程などの面で優れているわけではない。
このため、ソプラノ・クラリネットでも一体型の管体を有するものが、少数派ではあるが存在する。
全長のほとんどを占める管体の太さは、ほとんど一定である。
これが、クラリネット独特の運指や音色を生む原因である(後述)。
クラリネットの名の付く楽器は多く、クラリネット属と総称する。
それらは移調楽器で、それぞれ音域を変えるために管の長さを変えたものであり、運指などは殆ど同じである。
クラリネット属の楽器の基準形はソプラノ・クラリネットで、単にクラリネットと呼んだ場合には通常ソプラノ・クラリネットを指す。
ソプラノ・クラリネットの調性は、変ロ(B♭)調が一般的であり、この他にイ(A)調のものがあり、オーケストラなどで多く使われる。
変ロ調の楽器とイ調の楽器は唄口部分が共通であるために、演奏中の持ち替えではこの部分だけを差し替えることもある。
作曲家によってはそれぞれの管の音色が違いにこだわって、B♭管の曲とA管の曲を書き分ける。
たとえば2曲のクラリネット協奏曲を作曲したウェーバーの曲はすべてB♭管用である。
しかしながら、単に音域や運指のしやすさでどちらの管を使うかを決める作曲家や演奏家もいる。